「フルーツは体にいい」と分かっていても、「農薬が心配…」という声をよく耳にします。とくに小さなお子さんがいるご家庭では、「できるだけ安全なフルーツを食べさせたい」という気持ちが強いのではないでしょうか。
この記事では、フルーツに使われる農薬の種類や役割、農薬の番号表示、洗い方や選び方の工夫など、安心して果物を楽しむためのヒントを詳しく解説します。
Contents
なぜフルーツに農薬が使われるのか
果物は病害虫に弱く、また収穫までの期間も長いため、農薬の使用はある程度避けられないのが現状です。農薬の主な役割には以下のようなものがあります。
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害虫の駆除:果実を食べる虫から作物を守る
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病気の予防:カビやウイルスなどの病気から果実を保護する
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品質保持:見た目や収穫量を一定に保つ
もちろん、農薬の使用は厳しく管理されており、基準を超える使用や出荷は法律で禁じられています。
「農薬番号」「PLUコード」ってなに?フルーツの安全性を確認する方法
フルーツの安全性を確認する方法としての方法はいくつかありますが、ここでは「農薬番号」「PLUコード」についてご紹介します。
農薬番号とPLUコードの違い
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農薬番号 |
PLUコード |
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用途 |
農薬製品を識別するため(業務用) |
果物・野菜の品種や栽培方法の識別(小売用) |
発行・管理元 |
農林水産省(日本) |
IFPS(国際青果標準連盟) |
表示場所 |
農薬容器、農薬情報データベースなど |
果物や野菜に貼られるシール |
内容の対象 |
農薬そのもの |
果物・野菜(商品の種類・栽培方法) |
安全性の判断材料 |
農薬の安全性が確認されている証明 |
栽培方法(有機か否か)を確認できる |
一般消費者向けか |
×(農業者・業者向け) |
◯(消費者がスーパーで確認できる) |
農薬番号とは|農業者や流通業者向けの管理情報
農薬番号の概要
「農薬番号」とは、日本で流通する農薬に対し、農林水産省が安全性と有効性を審査したうえで付与する登録番号のことです。番号は「第〇〇〇〇〇号」といった形式で付けられ、登録された農薬のラベルや資料に記載されます。
登録には厳格な審査があり、食品衛生法や農薬取締法に基づいて残留基準なども定められています。
🔎 参照元:農林水産省「農薬の登録制度」
消費者はどう活用できる?
農薬番号は基本的に農薬そのものを識別するための業務用情報であり、スーパーなどで直接目にする機会はありません。消費者が日常的に意識する必要はありませんが、「どんな農薬が使われているか」を調べたいときには、農水省やFAMIC(農林水産消費安全技術センター)のデータベースで確認できます。
🔎 参照元:FAMIC「農薬情報提供システム」
PLUコードとは|一般消費者向けの青果物の識別用バーコード
PLUコードの概要
PLUコード(Price Look-Up code)とは、主にアメリカやカナダを中心に、国際的に使われている青果物の識別用バーコードです。私たち一般消費者がスーパーで果物を購入する際に直接確認するには、PLUコードの確認が必要です。スーパーマーケットで果物や野菜に貼られている、小さな丸いシールの中に書かれている「4桁または5桁の数字」のことです。
🔎 参照元:IFPS「PLU Codes」
消費者はどう活用できる?
国際的な果物の識別コードで、以下のように農薬の使用状況を見分けるヒントになります。
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4桁で3または4から始まる番号(例:4011):慣行農法(一般的な農薬使用)
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5桁で9から始まる番号(例:94011):有機栽培(オーガニック)
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5桁で8から始まる番号(例:84011):遺伝子組み換え作物(日本では原則未流通)
「94000番台」のコードが付けられているものは、オーガニック(有機JASなど)認証を受けた農産物であり、農薬の使用が厳しく制限されたものです。
🔎 参照元:農林水産省「有機JAS制度」
日本ではこのラベルが付いていないことも多いですが、知っておくと輸入果物の見分けに役立ちます。
安心してフルーツを食べるためにできること
- PLUコードの94000番台をチェック:有機栽培の果物で、農薬使用が厳しく制限されています。
- 流水や野菜用洗剤での洗浄:農薬の残留を減らすために、調理前にしっかり洗うことが推奨されています。特に表面がつるつるしたフルーツには効果的です。
- 皮をむいて食べる:皮ごと食べないことで、残留農薬の摂取リスクを下げることができます。
- 信頼できる販売元を選ぶ:JAS認証やオーガニックマークがついている店舗・ブランドから購入するのも安心材料の一つです。
家庭でできる!農薬の落とし方
たとえ農薬が基準内で使用されていても、できるだけ安心して食べるために「農薬を減らす工夫」はしたいもの。以下の方法で、農薬をある程度取り除くことができます。
1. 水洗い(流水で30秒以上)
最も基本的で効果的な方法。流水で果物の表面を丁寧に洗うことで、付着した農薬の多くを落とすことができます。皮のある果物でも、手で持つ部分には付着しているため、食べる前に必ず洗いましょう。
2. 塩水または重曹水に浸す(5〜10分)
農薬の種類によっては、水よりも塩や重曹を使った洗浄が有効です。1リットルの水に小さじ1の塩または重曹を加えてよく溶かし、果物を5〜10分ほどつけてからすすぎます。
3. 皮をむく・下処理する
皮に農薬が残っている場合は、皮をむくことで除去ができます。ただし、栄養が多く含まれる皮ごと食べたい果物(りんごやぶどうなど)の場合は、洗浄をしっかり行いましょう。
子どもに果物を与えるときの注意点
子どもは体が小さく、化学物質の影響を受けやすいため、大人よりも慎重に果物の選び方・扱い方を考える必要があります。
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国産を選ぶ:輸入果物はポストハーベスト農薬(収穫後の防腐処理)が施されている場合があります。
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旬の果物を選ぶ:旬の果物は農薬に頼らずとも病害虫が少ない時期に収穫されるため、比較的安全です。
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無農薬や減農薬を意識する:最近ではスーパーでも「減農薬」や「特別栽培」の表示が増えています。信頼できる産地や生産者から購入するのも安心材料になります。
無農薬=安全ではない?知っておきたいこと
「無農薬だから安心」と思われがちですが、実は無農薬栽培にもデメリットがあります。
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病害虫に弱いため腐敗しやすく、保存性が低い
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農薬を使わないことで逆にカビや細菌のリスクが増える場合も
つまり、「無農薬=安全」という単純な図式ではなく、「どのように栽培され、どのように管理されているか」が大切です。
安全にフルーツを楽しむためのポイントまとめ
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流水でしっかり洗う(最低30秒以上)
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塩水や重曹水にひと手間加えるとより安心
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輸入品はPLUコードや産地をチェック
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子どもには旬・国産・皮をむいたものを優先
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情報の正しさを見極め、自分で選ぶ力を持つ
さいごに
フルーツは、ビタミン・ミネラル・食物繊維を豊富に含む、体にうれしい自然の恵みです。「農薬=悪」と怖がりすぎるのではなく、知識をもって上手に付き合うことで、より安心して美味しく楽しむことができます。
FruitsGalleryでは、今後も安全でおいしいフルーツの選び方や、子どもにも安心して食べさせられる工夫などを紹介していきます。
各フルーツについての紹介がみたい方は以下の記事もご覧ください。

ともよです。FruitsGalleryおよびLifeCurateの代表です。これといった趣味はないですが、フルーツを食べるのが大好きです。大田市場と世田谷市場のフルーツエリアによく出現します。